変革1「ササライ?こんにちわ。僕はヒクサクというんだ」
ヒクサクはササライに手を差し伸べた。
その言葉を聞いたときルックの心はズキンと痛んだ。
ササライはそんなルックを不思議そうに思ったが、顔に出さずヒクサクの手をとった。
「こんにちわ。なんと呼べばいいでしょうか?」
「そうだね。ヒクサクでいいよ。君は僕の分身みたいなものだからね」
ルックの手は震え、背筋が寒くなる。
喉がからからになり、その場から逃げ出したくなった。
「君もね」
ヒクサクはルックの方に視線を向けにっこりと笑った。
絡みつく四肢、同じ顔で同じ形の性格の違う人。
怖い獰猛な目、喉に絡みつく舌。
押さえつけられたあの怖さがルックの目にフラッシュバックする。
「ササ逃げて!」
ルックは張り裂けんばかりの声を上げる。
ササライとヒクサクの間に強風が吹き荒れる。
「ルック。私に敵うとでも思っているのかい?」
ヒクサクはそんな風はものともせず薄く笑う。
そしてゆっくりとササライを背にかばう。
「すっすいません」
「いいんだよ別に」
ルックは驚いたように二人を見る。そして徐々に風は弱まった。
「いまさら何のようだ」
「そろそろ復活すると思ってね。迎えに来たよ」
その言葉にさすがのササライも驚いて声を上げる。
「えっ!!」
「おやおや、ササライと喧嘩でもしたのかい?」
わざとだ絶対あおってる。
「貴方がそうさせたのでしょう」
そうさせた?ヒクサクとははじめてあったのに。
なんでルックはこの人に異常なほど気を張っているのだろう。
視界がぼんやりしてきた、前にもこういうことがあった気がする。
頭が痛い。
「わぁあああ」
ササライは突然わめきだしていた。
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このシリーズは変革で終わろうと思います。